
キルギス🇰🇬の定番
料理紹介
みんなが集まる席に、野菜ではない前菜
遊牧民の前菜盛合せ
キルギスの宴会で欠かせないのが、四角い一口サイズの揚げパン「ボルソック」。 小麦粉をこねて発酵させ、薄く伸ばして切って、油でカラッと揚げるシンプルな一品です。
大きな宴会になると、小麦粉50kg〜100kg分を一気に作るのも日常茶飯事。すべて手作業で、 生地をこねる人、伸ばして切る人、揚げる人……と、家族や近所の人たちが役割分担して協力します。 人脈が広い人ほど、たくさんの手が集まり、大量のボルソックをスムーズに仕上げられます。 単なるお菓子やパンではなく、「人と人のつながり」を象徴する、深い意味を持つ食べ物でもあります。
ボルソック以外にも、テーブルにはナッツ、ドライフルーツ、ジャム、蜂蜜、甘いお菓子などがずらり。 元々野菜のメニューがほとんどない遊牧民の食文化では、これらが「前菜」の役割を果たします。


肉のない食卓は、食卓ではない
肉料理各種
キルギスをはじめとする中央アジアの遊牧民族にとって、ご馳走とはもちろん「お肉」。 馬、牛、羊、ヤギ、ヤク……動物の群れを育てながら広大な草原を移動する暮らしの中で、肉は命の源であり、誇りそのものです。 「羊を捌けない男は男ではない」と言われるほど、生きた羊をナイフ一本で丁寧に解体する技術は、大人として身につける当然のたしなみ。家族や客人を迎えるための大切な儀式でもあります。
スープ、炒め物、蒸し物、炊き込みごはん(プロフ)、煮込み……さまざまな調理法がありますが、現地で最高級とされるのは、素材の良さをそのまま活かした塩茹で。 草だけを食べて自由に放牧されたグラスフェッドの動物たちは、脂がさらっと上品で、旨味が濃く、調味料や複雑な火入れは必要ありません。 シンプルに塩だけで茹でた肉を、熱々のまま分け合う――それだけで、食卓は最高の宴になります。
映えすぎる、丸いナン
ナンは神聖なもの
装飾たっぷりの丸いパン「ナン」。 職人さんが一枚一枚、手で成形してタンディル(直火の窯)に貼りつけ、熱々の炎で焼き上げる様子は、まさに職人技の芸術です。
日本人にとってのお米と同じように、ナンはただの食べ物ではありません。 決して捨ててはいけない、床に置いてはいけない、神聖な存在。 家族の食卓に欠かせない「命の糧」として、心から大切に扱われます。
最近はフワフワの甘い菓子パンも人気ですが、やっぱり現地で不動の地位にあるのは、シンプルに小麦粉と塩だけで作った、噛みごたえのある手作りナン。 表面の美しい模様と、香ばしい焼き色……映えすぎて、写真を撮る手も止まらない一枚です。

